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嫁入りの唄


主人公の晴美は、花嫁衣裳に身をつつみ、実直そうな新郎の雄一郎に寄り添いながら、
今日の結婚式を満面の笑みで迎えている。
その二人を祝福するのは新郎の親戚をはじめ、礼服で着飾った垢抜けない村の人々で、
彼女のその白無垢の和装は、祝言をささげる寂れた神社はもとより、村人を含むこの田舎独特の雰囲気に馴染んでる。
そもそも晴美は都会に住んでいたのだが、縁あってこの地に住む雄一郎と懇意となり晴れてゴールイン。
この人里はなれた寒村で、婚礼の儀を執り行うに至ったのである。
しかし、村の住民からすれば都会の若い女性は珍しく、ましてやこの地に嫁ぐとなると尚のことで、
彼らの放つ奇異の目やひやかしは言うに及ばずだが、新郎と顔なじみの岡津なる初老の男もご他聞に漏れずで、
羨ましいと下卑た笑顔を向けるのだった。

その夜。新郎の屋敷では、この地の習わしに従って、今も村人たちは酒宴で盛り上がっているが、
そんな騒ぎも聞こえぬ離れの寝室で、晴美は近所の女衆の手によって、花嫁衣裳から夜着への変容を遂げようとしていた。
花嫁衣裳とはまた違う清潔で柔らかな薄絹が、彼女の華奢な裸にユラリと羽織られて、
顔には白粉(おしろい)をはたく念の入れよう。初夜の準備である。
だんだんと、夜の寝床に映えそうな美しさをたたえる晴美は、意を決したかのように女衆の老婆にこう訪ねる。
「初めての時は、やはり痛いのでしょうか…?」
彼女は都会の女性には珍しく、未だ処女であったのだ。
老婆は柔和な笑みで、ええようにしてくれるけぇと土地の方言で優しく語り掛けると、
我らの時間はここまでとばかりに、数刻後には廓の狂騒となるであろうこの寝室を静かに去っていくのだった。

寝室に残された晴美は、姿見鏡にうつる薄着の自分にふと気づき、
我ながら恥ずかしい格好と、顔を赤らめたじろぐが、その照れも期待の表れかと一人静かに雄一郎を待つことに。
して、ほどなくスーッと後ろの襖が横に滑る音。愛する夫のお出ましかと振り向いた彼女は、
そこに立っているのが雄一郎でなはく、昼間に挨拶をした岡津と知り愕然とする。
薄着の身を布団で隠して後ずさる晴美。貞操の危機を警戒しつつ、この非常識な来訪の意を問うと、
岡津は慌てることなく「これじゃ」と言って、村に伝わるという「お香」を取り出す。
部屋に放たれたお香の匂い。やがてそれは晴美の鼻腔をくすぐると、
ぞくぞくするような刺激をともなって、彼女の心身を蹂躙すべく駈け巡る。
我が身の変調を知る間もなく、大きく仰け反って身悶えるしかない晴美。
そんな彼女へと、岡津はジリジリとにじり寄ると、驚愕の言葉を口にする。
「雄一郎からも よろしく頼まれている」と…。
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朽ちた桜のこもれびの

作家: 午後13時 

シリーズ:朽ちた桜のこもれびの (単話)
出版社:文苑堂(COMICエウロパ)
ジャンル: 単話  美乳  貧乳・微乳  ロリ系  和服・浴衣  セーラー服  ブラウザ視聴  Android対応  iPhone・iPad対応 
知人の葬儀のため、田舎の実家に帰省したOLの瑞穂は、 カバンからそっと古い写真を取り出すと、 喪服が乱れるのも構わないとばかりに胸を剥き出しにして、 指を下半身に這わせて一人自慰に耽る。 手に持つ写真には、小さい頃の瑞穂と、なにやら歳のはなれた老人が写っている。 やがて絶頂に果てる瑞穂。打ちつけるようなオルガスムスが体の芯を貫き、目に涙を浮かべるが、 それは悦楽のためだけではないよう。 彼女は母の呼ぶ声も耳に入らず、ただ息を荒くしたまま呆けるのだった。 田畑と水路に挟まれた田舎道に、漆黒に伸びる葬列。そこには瑞穂も同列していて、一行は火葬場に向かっている。 遺影を持つのは故人の孫らしき少年で、いつもの黒い学生服が、今日だけは痛々しい。 瑞穂は顔を空に向け、遺影に収まる故人…先ほど自分が持っていた古い写真の男を思い出す。 めぐらすのは遠い日のこの地。 遺影の男の名は高田公俊という。 元海軍で、ご老体と呼ぶには眼光するどく、矍鑠(かくしゃく)とした昭和一桁世代だが、 なぜか瑞穂は昔からこの高田に懐いていて、その日も下ろし立てのセーラー服を見てもらおうと、 彼の自宅に上がり込んでいる。 そんな瑞穂に「おお…」と高田は相好を崩し彼女の顔に手をあてがう。 どうやら瑞穂に、亡き妻の若き日の面影を見たようだ。 「冬子が女学生の頃を思い出すのぉ」 瑞穂は、今はJCと言うのだよと、自分の顔に伸びた高田の手を優しく取ると、 写真立てに収まる在りし日の高田夫婦に目をやって、彼の妻、冬子のことを思い出す。 かつて冬子が口にした、ある言葉を脳裏に浮かべた瑞穂は、なぜか同じように高田に向かって口ずさむ。 「ねえ公俊さん…」 これがいけなかった。 高田は、瑞穂と冬子の容姿を重ねてしまい、 彼女に対して「帰ってきたのか」とにじり寄ると、 もはや亡き妻にしか見えぬ彼女を抱きしめて、その偽りの邂逅を祝福。 生前、頻繁に交し合っていたであろう夫婦の営みを今一度とばかりに、 セーラー服の初々しい瑞穂の体を一心に貪るのであった。
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